前回の話

11 :957 第2部 01 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 21:34:47
いくら背伸びをしてみても、中学生なんて所詮はまだまだ子供だ。 
俺は責任が怖かった。そしてその責任から逃れたかった。 

あんな事があったというのに、あんな事をしてしまったというのに、
Yと話すのが気まずくなった俺は、彼女を避けるようになっていた。 

そしてあれから数日経ったある日、授業が終わった後で彼女に呼びとめられた。 

(ついに来た…) 

暗澹とした心持ちで、彼女と近くの公園へ向かった。 
並んでベンチに越しかけるも、どう切り出してよいかわからず、しばらく
重い沈黙が続いた。 

12 :957 第2部 02 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 21:35:48 
先に沈黙を破ったのは、彼女だった。 

Y「…あのね」 
俺「…うん」 
Y「…大丈夫だった」 
俺「え…?」 
Y「生理…きたから…」 
俺「??」(←その意味がよくわからなかった) 
Y「できてなかったってこと」 

そう…できてなかった、か。大丈夫だったのか…! 



14 :957 第2部 03 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 21:36:30
体の力が一気に抜けた。…と同時に、自分でもなんだかよくわからない感情が
込み上げてきた。 
それは「怒り」に近かったと思う。その溢れる感情の勢いに任せて俺は切り出した。 

俺「…なぁ。別れよう?」 
Y「…」 
俺「俺、もう、前みたいには戻れない…」 
Y「……いやだ(泣き出す彼女)」 
俺「ごめん…」 

彼女はしばらく泣いていた。そして、一言一言紡ぐように言った。 

Y「…私は…それでも好き…」 
俺「俺もYの事好きだけど、もう無理だよ…」 

結局Yとは別れことになった。 
一方的で、最悪な別れ方。このことはずっと胸の奥に罪悪感の黒い塊として
残ることになった…。 

15 :957 第2部 04 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 21:37:41
秋になって、俺は塾を辞めた。東京の私立高校に、推薦での入学が決まったためだ。 
部活を引退し、学校に毎日通う以外に特にやることの無かった俺は、ダラダラと
過ごしていた。 

そして、はじまりのあの日からちょうど1年経った、中学3年の2月14日。 
俺はその日、学校のクラスの友人達と、卒業旅行と称して今は無きドリームランドへ
遊びに行った。 
さんざん遊び尽くし、夜になって家に帰ってきた俺に、妹がやけに明るい声で言った。 

「にいちゃーん」 

16 :957 第2部 05 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 21:47:07 
「お届け者でーす」 

ニコニコと無邪気に微笑む妹の手には、去年と同じ“白い箱”があった。 
そして箱には、カードが添えられていた。 

『好きです。』 

俺は妹の手から箱をひったくるように奪い、部屋へ駆け込んだ。
後ろで妹の冷やかしの声が聞こえた。 
妹は知らなかった。俺たちはもう別れたということを。 

結局、俺は恐ろしくなり、箱を開けることなく捨てた。 
俺もYも当時は携帯を持ってなかったし、彼女のことはそのまま放置した。 
何もしないことが解決になると、信じた。 

23 :第2部 06 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 23:18:00
高校生になった。 
今まで官舎住まいだった我が家も、俺が東京の高校に入学したのを機に、
横浜に家を立てて移り住んだ。 
あの町には思い入れがあったが、Yと疎遠になることに内心ほっとしていた。 

俺の高校は某大学の付属校のひとつで、男子校だ。 
エスカレーター式に大学に行けるし、周りは野郎ばかりで気を使う事もないし、
毎日がとても楽しかった。 
弓道部に入部した俺はそれに打ちこみ、汗を流して毎日を過ごした。 

さすがに次の2月14日前後は重い気分だったが、杞憂だった。 
引っ越しの際は、本当に親しかった学校の友人以外の誰にも新しい住所を
教えなかったから“白い箱”が届くことはありえなかった。 



24 :第2部 07 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 23:18:48 
高校2年の夏、関東大会に出場した。会場は前に住んでいた県の、
とある公立高校だった。 
結果は…残念ながら勝ち残ることはできなかった。 
自分なりに全力で臨んだ大会だったから、その実力が及ばなかったことが
とても悔しく、仲間と離れてひとり中庭でふてくされながら飯を食っていた。 

「○○くん…?」 

不意に後ろから呼びかけられ、俺は振り返った。 

そこにはアイツがいた。 

25 :第2部 08 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 23:20:53
「びっくりしたよ!弓道始めたんだね!私ここの学校に入ったんだよ!」 

そこには俺と同じく弓道着の身を包んだNが立っていた。 

スラムダンクで感激して以来ずっとバスケ部員だった俺が、高校に入ってから
突然に弓道を始めた理由は、正直なところ、Nの存在があったからだ。 
彼女は中学の時からずっと弓道をやっていた。…といっても、うちの中学には
弓道部がなかったため道場に通っていたのだが。 
それを覚えていた俺は、引越しの寂しさと、まだ捨てきれない初恋の気持ちから、
彼女の影を追うようにして弓道を始めたのだった。 

でもまさか再会できるとは思わなかった。 
しかしよくよく考えてみれば、この公立高校は県下トップ校である。
特進の生徒だった彼女なら、ここも当然、射程圏内なのだ。 

片手に弓を持ち、仁王立ちで俺の後ろに立つNは、あのころと何ひとつ
変わっていないように思えた。 


26 :第2部 09 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 23:21:51
俺「N!△△高だったの!?」 
N「うん。××に落ちちゃってねー。」 

あっけらかんに答える彼女。 
やっぱり変わってない。 

小学校の時からそうだった。 
明るくて、人懐っこく、豪放で、男勝りで、ちょっと頑固。 
特進では、Yといつも一緒にいた。 
Yが女の子らしい女の子だったからその陰に隠れていたけれど、Nだって、
俺の色眼鏡をはずしてもレベルは高いほうだったと思う。 

27 :第2部 10 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 23:22:41
俺「そっか。まさかこんなとこで再会するとは…」 
N「ねー。世の中せまいねー」 

彼女は「よっこらせ」と、おばさんみたいに言いながらおれの斜め前に腰掛けた。 
なつかしかった。彼女の口癖だ。 

俺「おばちゃん、変わってないなぁ」 
N「あらーうれしいこと言うじゃないwこれでも年取ったのよーw」 
俺「1年ちょいじゃんかw」 

新しい学校のこと、俺の新しい地元のことなど、しばらく話をした。 
すると彼女が唐突に切り出した。 


28 :第2部 11 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 23:23:23 
N「…ところで、Yとはどうなったの?」 
俺「え…?聞いてないの?」 
N「アンタと付き合い始めてから、そっとしとこうと思ってあんまり
連絡取らないようにしたの」 
俺「えと…別れたよ。夏頃」 
N「…そっか」 

ふと気になって聞いてみた。まだ罪悪感は残っていた。 

俺「…Yはどうしてる?」 
N「お互い高校決まってから、ぜんぜん連絡とってないよ?」 

少しホッとした。 
YがNに俺のことを話していたら、Nにも嫌われるんじゃないかと思ったから。 

…ところが、ホッとしたのもつかの間。俺はこの後とんでもないことを知らされる
ことになった。 

29 :第2部 12 ◆SOkleJ9WDA :2006/06/20(火) 23:26:32
N「そうそう、Yは“△△付属女子高校”に行ったんだよ」 
俺「…え!?」 

その時、後ろでNを呼ぶ声がした。 

「あ、いかなきゃ。じゃまたね。そうだ、番号教えてよ!」 

彼女と携帯の番号・アドレスを交換し「またね」といって別れた。
Nと会えたことで敗けた悔しさは忘れていたが、今度はまた別のモヤモヤが残っていた。 

“△△付属女子高校” …俺と同じ大学の付属女子高校で、同じ大学に進学する。 

俺のいた学校から、俺の高校に進学したのは、俺の代では俺ひとりだ。 
それくらい、あの地区から遠いあの学校に進学することは珍しい。もしかして… 

…これ以上は考えたくなかった。湧き上がる不安を覚えつつも、俺はNとの
再会であの時あきらめたあの想いが蘇るのを感じていた。
 


引用元:PINKちゃんねる
http://sakura01.bbspink.com/test/read.cgi/hneta/1150794129/ 




ぎゃー、怖い!!確実に追ってきていますよね・・・。
真面目でおとなしい彼女、思い詰めてしまったのでしょうか?